映画『やさしい嘘』を観ました
図書館の棚で見つけた映画タイトル、『やさしい嘘』を観ました。
いかにも地元の単館系映画館でかかりそうな映画だなぁ、と思いググってみると、やはり過去上映作品でした。
<“家族への愛”に涙が止まらない、世界中で絶賛された感動作>とDVDパッケージにうたわれているので、期待をもってのぞみます。
あらすじは。
旧ソビエトのグルジアに暮らすエカおばあちゃん(エステール・ゴランタン)の楽しみは、パリに住む息子オタールから届く便りだけ。母の愛情が、弟オタールだけに注がれているようで素直になれない娘マリーナ(ニノ・ホマスリゼ)。そして、オタールおじさんからの手紙を流暢なフランス語で読み聞かせるのが日課のおばあちゃん子、孫娘アダ(ディナーラ・ドルカーロワ)。女3人の、質素ながらも心豊かな生活が平穏にすぎていく。しかしある日、オタールの不慮の事故を知らせる電話が鳴り…というお話。
うーむ、期待して観始めたのですが、わたしの期待するような映画ではありませんでした。
とはいえ、作品自体は
2003年 カンヌ映画祭国際批評家週間大賞 黄金のリール大賞受賞
2004年 セザール賞 第一回監督作品賞受賞 脚本賞・有望若手女優賞ノミネート
2003年 ヴィエンナーレ国際批評家連盟賞 特別賞受賞
2003年 モントリオール映画祭ラジオ・カナダ賞(最優秀脚本賞)受賞
2003年 ワルシャワ国際映画祭 特別賞受賞
2003年 ドーヴィル映画祭 最優秀フランス脚本賞受賞
2003年 ベオグラード世界の視点 最優秀映画賞受賞
などなど、数々の栄誉に輝いています。
ちょっとした仕草、佇まい、ワンシーンに、人間の機微がこめられている印象で、文学としても成立しそうです。
映画サイトの評価も上々。
エカおばあちゃんはかわいらしいし、娘マリーナのツンデレ感や、孫娘のいらだちもよく表現されています。
ただ、「やさしい嘘」という日本語タイトルのせいなのでしょうか、その嘘が明らかになってしまうと、物語として物足りなさを感じてしまいます。
字幕版で観はじめたところ、これ何語?え、フランス語?あれ、ロシア語?とちょっと戸惑ってしまったのですが、フランス・ベルギー・グルジアの合作で、各国語が飛び交っていました。
早々に日本語吹替え版で視聴。
エカおばあちゃんの声は佐々木すみ江さん、いい味です。
物語に没入するには、吹替え版の方が(わたしには)合っているように思いました。
このエカおばあちゃん、見た目のお年寄り感に反して、タバコをふかしたり、ひとりで別荘に行ったり、街中や階段をばんばん歩き回ったりする健脚ぶり。
かわいらしいばかりではなく、タフな女性です。
そのタフさが、物語の核にも滲みでていたのかもしれません。
気になったのは、映像編集。
途中でブツッ、ブツッ、と映像の切り替わりがわかって、それか意図的に何かの効果を狙っているのか、ただの若手監督の拙さなのかよくわかりませんが、自然な流れを途切れさせる違和感として意識されました。
結論としては。
深く鑑賞しようとすればとても味わい深い作品。
個人的には、涙なんてひとつもでなくて、感動というほどの感動もなくて、ちょっと間のびした展開の挙句、そういうオチか、みたいなガッカリ感があり。
観なくてもよかったかな、という一本でした。
まぁ、その辺は各個人の好みということで、あしからず。
受賞歴をみれば良作であることは確かなのでしょうから、刺さる人には刺さるのかもしれませんね。
『やさしい嘘』/"Depuis qu'Otar est parti..."(オタールが去ってから)
2003年、フランス・ベルギー・グルジア
監督:ジュリー・ベルトゥチェリ
キャスト:エステール・ゴランタン、ニノ・ホマスリゼ、ディナーラ・ドルカーロワ、他
おすすめ:★★