【映画】『アマデウス ディレクターズ・カット』を観ました
HDDに眠っていた映画鑑賞シリーズ、です。
今回は、随分と昔の映画ですが、1984年製作の『アマデウス』。
18世紀後半に活躍した大音楽家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの半生を、彼を崇拝しつつ嫉妬し憎悪した宮廷作曲家サリエリの視点を通して描きます。
予告編はこちら。字幕なし。
これ、公開から数年後?にテレビ放映された際にドハマリして、VHSビデオテープに録画したものを十数回は観たと思います。
当時はこの映画に「熱狂」していたのですが、今回の印象は「陰鬱」なものに変わっていました。自分のメンタル状況もあるのでしょうか。観ていてとても辛かった。
ディレクターズ・カット版ということで、劇場公開版と明らかに違ったのは、仕事を推薦してもらうためにサリエリの元を訪れたコンスタンツェとのやり取りの続きでした。
正直、この部分はいらなかったかな、と思います。
モーツァルトの直筆のオリジナル・スコアを目にして驚愕し感嘆し絶望したサリエリが楽譜を取り落とす。その楽譜を拾いながらサリエリを見上げて出来を問うコンスタンツェを尻目に、楽譜を踏みつけてその場を去る…という端的な劇場公開版の方が、それだけでサリエリの心中を核心的に描き出し、効果的だったような気がします。
傲慢さ、猥雑さ、浪費癖のゆえか、神童上がりのキワモノ的な扱いのモーツァルト。その音楽的才能を高く買ってくれる人は少ないように見えます。
そんな中、真に彼の音楽性を理解したサリエリ。
神に愛されし者モーツァルトに対し、音楽を愛し神に仕えながら凡庸なる才能しか与えられず、嫉妬と憎悪に苛まれ苦悩するサリエリ。
モーツァルトの死後もずっと苦悩し続けてきた老人サリエリは、ついに自らを傷つけ、神父の前で、神を棄てモーツァルトを破滅させると決意した心中を告白する。
サリエリの回想の中で、モーツァルトの人となり、その音楽の美しい調べが流れます。
快活に飛び回っていたモーツァルトが、次第に困窮し、衰弱し、死に至る様が哀しくて。
当時この映画を観て、モーツァルトのCDを買い集めたことや、岩波文庫の「モーツァルトの手紙」を読んだことを懐かしく思い出しました。
35歳の早逝。信じられない音楽の業績。
モーツァルト、すごいなぁ、と思います。
そして、十字架を暖炉の火にくべたサリエリの苦悩にも、同情を禁じえません。
そうそう、今回は字幕版でしたが、テレビ放映当時に観たのは日本語吹き替え版。
三ツ矢雄二のモーツァルト、日下武史のサリエリ、宮崎美子のコンスタンツェは最高でした!!
日本語吹き替え版、超おすすめです。
『アマデウス ディレクターズ・カット』 "Amadeus"
1984年/2002年/アメリカ
監督:ミロス・フォアマン
原作・脚本:ピーター・シェイファー
キャスト:F・マーレイ・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ他
おすすめ:★★★★