うたたねモード

セミリタイア?っぽく生きてみる。

映画『インセプション』を観ました

2010年公開の映画『インセプション』。

当時、わたしにしては珍しくSF作品であるこの映画に興味を覚え、映画館に観に行ったことを思い出します。

約10年前。あー、若かったわー。(笑)

で、エンドロールを観終わって、「おぉぉぉーーー!!」とすごく感嘆したことも覚えています。

途中、トイレで席を立ってしまって、なんとなく一部見逃した感がずっと残っていたので、今回、図書館でDVDを借りてきて再鑑賞となりました。

 

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あらすじは、、、複雑すぎて自分では到底まとめられないので、ご希望の方は Wikipedia 等でご確認を。

 

インセプション - Wikipedia

 

このあらすじ、観てない人は一読して理解が難しいと思うのですが、観てもなお難しい物語となっています。

ですが、観ていくうちに徐々に設定を理解してゆき、その物語の構造に驚嘆することになります。

 

映画館の初見では、ディカプリオの肉声が聴きたいがために、断片的な英単語を拾いながら「日本語字幕版」で鑑賞しました。

正直、設定が難しいうえにものすごいスピード感で、字幕を追うのに難渋しました。

なので今回は、物語を深く理解するために「吹き替え版」を選択。

吹き替えだというのに、やはりこのスピード感に付いていくのはハードでした!

 

登場人物(俳優)をざっとまとめると。

 

  • ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)
    主人公の産業スパイ。標的の頭の中から情報を盗む"extract"のエキスパート。
    今回は逆に、標的の頭の中にアイデアを植え付ける"inception"を行うミッションに挑む。
  • アーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)
    コブが信頼する仕事のパートナー。
  • サイトウ(渡辺謙)
    日本人実業家。コブの標的となるが、そのことでコブの実力を買い、ライバル会社の追い落としをはかるために"inception"をコブに依頼する。
  • アリアドネ(エレン・ペイジ)
    コブの"inception"ミッションに駆り出された学生。コブの恩師であるマイルス教授に学んでいる。
  • モル・コブ(マリオン・コティヤール)
    コブの妻。故人。夢の中でコブの潜在意識の投影として現れる。
  • イームス(トム・ハーディ)
    コブの仕事を引き受けた「偽装人」。変身のエキスパート。
  • ユスフ(ディリープ・ラオ)
    コブの仕事を引き受けた「調合師」。睡眠薬のエキスパート。
  • ロバート・フィッシャー(キリアン・マーフィー)
    サイトウのライバル会社の御曹司。サイトウがコブに依頼した"inception"の標的。
  • ピーター・ブラウニング(トム・ベレンジャー)
    ロバートの父フィッシャーの右腕である重鎮。ロバートも慕っている。
  • マイルス教授(マイケル・ケイン)
    コブの恩師。人の潜在意識や情報を夢の中で操作する技術を教えている。

 

とまぁ、これらの重要な人物たちが次々に登場し、観る者はその関係性を素早く理解していかなければなりません。

 

そして、それぞれの俳優さんたちがとても魅力的であることは言うまでもなく。

日本人俳優、渡辺謙さんも堂々たる風格です。

 

さて、本編の印象としては、クリストファー・ノーラン監督の独創的なイリュージョンに幻惑されます。

何層にも重なった複雑な構造、緻密な設定、現実と夢の交錯。

それらが、映画を観ているこちら側の「意識」をも侵食し始めるのです。

夢なのか、現実なのか、眩暈がしそうな世界観。

この迷宮のような世界観を描き出したプロットが、すばらしい。

 

また、何をおいても驚嘆するのが、圧倒的な映像です。

見たことがない風景、ありえない風景を、SFXの技術によりリアルに映像化しています。

とにかく、すごい。

 

さらに印象的なのは、音楽。

この映画では音楽も重要な役割を担っているのですが、ハンス・ジマーによる音楽が、この映画の世界観、複雑な構造や時間を見事に表現し、観る者の心に迫ってきます。

 

映画の中で、特に効果的に使われるテーマがありまして。

重低音の効いた旋律と、エディット・ピアフの「水に流して」というシャンソン曲。

現実と夢の世界では時間の流れる速さが違うのですが、それを見事に音楽で再現したのがこちら。 

 

youtu.be

 

現実世界で鳴っているエディット・ピアフの曲が、夢の中では時間がもっと遅く流れているため、スロー再生した時のような聞こえ方に…つまり重低音旋律のテーマとなって流れるわけです。

こういった秘密の仕掛けに気づくとまた、ゾゾゾッと背筋が寒くなるような感嘆に覆われます。

ハンス・ジマー、サイコー。

 

というわけで、これ以上のちょいバレはもう控えますね。

最後に、観終わった後、実はさらに謎が残るということだけは確かです。

初見の映画館でも、そして今回も、同じ謎に包まれました。

今回はDVDなので何度もリピートしてみたのですが、どう考えても、やはり謎が残るのでした。

その謎すらも極めて効果的ですばらしく、映画としての高い完成度に寄与しているのではないかと思います。

 

その謎はおいとくとして、映画を観て漠然と脳裡を占めたのは、「現実」と「夢」、「意識」と「無意識」といったような類いの問題です。

学生の頃は、「われ思う、故にわれ在り」なんて言ったデカルトはどうかしてる、自分なんて端からいるに決まってる、当然のことを疑うなんてナンセンス、などと思っていたものですが、それからかなりの年月を経た今は、さて、これは現実か、それとも夢か、自分という存在は、といった「意識」や「自分」の揺らぎのようなものを感じることが、ままあったりするわけです。

現実と夢、意識と無意識、在と不在、有と無、そして、生と死。

それらの境界は、とてもあいまいなものに今は思えます。

この映画は、そのような自分の中のちょっとした「揺らぎ」を意識させるものでした。

コブが回したコマ(現実と夢とを判断する道具)が回り続け、そして時折、揺らぐように。

 

クリストファー・ノーラン監督の傑作、おすすめです。

 

『インセプション』"INCEPTION"

2010年、アメリカ

監督:クリストファー・ノーラン

キャスト:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、エレン・ペイジ、マリオン・コティヤール、他

おすすめ:★★★★★

 

 

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