伊香保温泉、如心の里ひびき野に泊まってきました(前編)
このごろ、日中の残暑はありながらも、空気はぐっと秋めいてきました。
↓ちょっと前に妄想旅行でノイローゼになりかけた温泉行計画ですが、
去る九月某日、計画通り、いよいよ念願のおでかけを果たしました。
前回伊香保に行ったのはひと昔以上前でしょうか。
お久しぶりの再訪です。
水沢うどん@田丸屋でランチ
伊香保には比較的サクッとアクセスできる道のりなので、遅めに家を出て、途中にある水沢うどん店「田丸屋」さんでお昼の腹ごしらえです。
水沢うどんは、伊香保近郊の水澤寺(水澤観音)付近で参拝客向けに提供されたことが始まりとされる手打ちうどんで、讃岐うどん、稲庭うどんと並び、三大うどんのひとつとして数えられているそうです(諸説あり)。
水澤寺に至る道筋に13軒のうどん屋さんが立ち並び、水沢うどん街道と称されています。
どのお店にしようかさんざん迷った挙句、食べログの評価が高かったというミーハーな理由で、老舗の田丸屋さんに入ってみることにしました。
水澤寺の坂の下に位置しており、お寺の方から鐘の音が聞こえてきます。
道路のこちら側(お店の真向かい)が広い駐車場になっています。
切妻屋根が美しい和建築。
内部は大人数が入れるテーブル席空間とお座敷が並び、どちらの広間も人でいっぱい。
写真だとコンパクトな外観に見えますが、かなりの奥行きがあり、中廊下の傍には池のある坪庭があって風流です。
さて、オーダーしたのは、二つの汁(しょうゆ、ゴマ)がついた「二色もり」(¥1,000)です。ちょっとお高め。
つやつやでこしがあるうどんです。
濃厚でコクのあるゴマ汁はとろりとからみ、しょうゆ汁はさっぱりと。
ひと盆で二度おいしい二色もり。
ゴマ汁はとてもおいしいのですけど、ちょっと飽きがきそう。
個人的にはダシがきいたしょうゆ汁でさっぱりいただくのが好みでした。
のちのち宿の夕食があるので控えめにもりうどんにしましたが、見た目より意外と量があります。
実はうどんの下の竹ざるは中央が円錐形に上げ底がしてあって、「上げ底か、、」みたいな声も聞かれるのですが、これはうどんの水切りをよくするためと、ざるの座りをよくするための合理的な作りなのではないかと思われます。
それと、うどんに加えて、評判のよさそうな舞茸とかき揚げ天ぷらの「合わせ盛り」(¥600) を。
衣は米油で揚げたのか?と思われるくらい、サクッを通り越してバリッとしてます。
どこぞ(沖縄だったか?忘れました)のお塩も付いてました。
連れの家人とシェアして、おうどんの合間に塩で食べたり汁で食べたり。
お塩の方がおいしいかも。
水沢うどん、ごく普通のおいしいうどんでした。
もしかしたら釜揚げとか煮込みの方がおいしいのかも、と思ったり。
ごちそうさまでした。
トラブル発生
おなかいっぱいになったところで、伊香保に出発です。
・・・が、連れの家人が駐車場でガソリンカードの落とし物を発見。
放置するのもなんだし、裏面に記名があったので、電話番号に連絡してみました。
するとそれは落とし主の番号ではなくカード発行会社の番号で、あれやこれやの問答の末、「交番に届けるか、うどん屋さんに預けて交番に届けてもらってください」ということになりました。
参りました。めんどくさい、、、
駐車場側にうどん屋さんの売店があったので預けようとすると、「伊香保に行くなら交番がすぐ近くにあるし、宿の人に預けて交番に届けてもらっては?」などと言われてしまい、(なんでこちらがそんなことまでしなくちゃいけないんだろう、、、)と思いながら、カードを持ったままとりあえず伊香保に出発。(※水沢と伊香保は至近距離です)
道中、急激に空模様が怪しくなり、ポツポツときたらいきなり土砂降りの雨に。
ワイパー全開でも視界が滝のようです。
危ないし、後方から車も迫っていたので、広い路肩に止めてしばらくやり過ごします。
ほどなく雨脚が弱くなってきたところで発進。
宿の三時チェックインにはまだ時間が早いので、雨宿りも兼ねて「伊香保 保科美術館」へと向かいます。
本当は、伊香保ロープウェイや河鹿橋という観光スポットに行きたかったのですけど、あいにくの雨で予定変更です。
カーナビを設定するも、途中の右折がものすっごくわかりにくくて2度ほど通り過ぎてしまい、だいぶ行き過ぎてしまったので、そこにあったコンビニで地図を再チェック。
すると、コンビニのすぐ横に交番があることが判明し、家人に落とし物を届けに行ってもらいました。
ですが、駐在さん不在にて、転送電話に出た駐在さんの指示で、宿に預けることになりました。
はーーー、なにそれ。
伊香保 保科美術館へ
気を取り直して、小雨の中をまずは保科美術館へ。
まるで蔵のような白壁が美しい外観です。
竹久夢二、小林かいち、友永詔三などの芸術家の作品が展示されています。
竹久夢二は美人画で有名ですが、ここでは全く知らなかった木版画絵師・小林かいちの作品に魅了されました。
大正ロマンあふれる「京都のアール・デコ」と称されるモダンな図柄の絵ハガキなどが、とても魅力的ですばらしい。
ハート・星・十字架・トランプなどのモチーフが散りばめられ、アンニュイな女性のシルエットがなんともいえないレトロモダンな線で描かれています。エモい。
友永詔三さんは、昭和50年代にNHKで放送された人形劇「プリンプリン物語」の人形美術などを務めた人形作家、造形家。
手足の長い独特な造形の人形が、そういえばいつかどこかで見たことがあるような。
懐かしくもあり、近未来的でもあるような、不思議なあたたかさを感じる作品でした。
二階に上ると、正面にガラス張りの展望喫茶・休憩室がありました。
眼下には、ちょうど雨上がりの雲の合間に上州の山々が広がり、すばらしい眺望です。
喫茶室と言ってもお店はないのですが、ドリンクの自販機があったので、冷たい煎茶を一服。山々を眺めながら癒されます。
二階には数名の画家による日本画の展示室もあって、こちらもまた見ごたえがあり、すばらしかったです。
釧路の湿原、タージマハル、秋・冬の木立、竹林、牡丹屏風、などなどの日本画が印象に残りました。
伊香保にはいくつか美術館などがありますが、保科美術館、おすすめです。
帰り際に、売店で小林かいちの絵ハガキセットと夢二のレターセット、ポチ袋などを購入しました。
さて、先のガソリンカードの案件ですが、発行会社を通して落とし主とコンタクトが取れ、保科美術館まで取りに来ていただくことになり、無事にお返しすることができました。
先方からいきなりケータイ着信があったのが作品鑑賞中でもあったので、数度のやりとりでバタバタするなど、美術館の静寂を破ってしまうことになりました。
実はその案件があったために落ち着かず、ゆっくり鑑賞できなかったことは返す返すも残念です。仕方ありませんが。
如心の里ひびき野へ
保科美術館からほど近く、今日の宿、如心の里ひびき野へ。
15:30、チェックイン。
ロビーに案内され、ウェルカムドリンクとお茶請けが供されました。
雑穀茶?のような冷茶と、宿オリジナルのお菓子「ほっ」という銘のクリームチーズのようなものが包まれた水餅でした。
ほっ、とします。
すぐさま、部屋に案内していただきました。
中庭が見える西向きの和室(10畳)です。
縁には椅子が二客。
窓の外には、中庭の一端が見渡せます。
雨上がりでしっとり濡れた景色は風情があります。しばし椅子に座ってまったり。
テーブルの上には、もうひとつお茶請けがありました。くるみゆべしです。
家人はペロリといただいていましたが、わたしはお持ち帰りとしました。
温泉・お風呂
しばらく部屋でテレビを観たりおしゃべりしなから、ゴロリゴロリと過ごしたところで、19時の夕食までに、ひとまず温泉に入ることにしました。
一階の渡り廊下の突き当りにお風呂があります。
女湯は左側へ。
脱衣所はそこそこ広く、お風呂場には先客が一人いらっしゃいました。
入り口の戸を開けると、大浴場があります。
右手にサウナ、右手の奥には露天風呂、左手の階段を数段降りた所に洗い場、そして中央には大きな内風呂が並んでいます。
(※カメラは持ち込まなかったので写真なし。雰囲気は公式サイトでどうぞ。)
黄金の湯/露天風呂
身体を流したあと、まずは誰もいない露天風呂に行ってみました。
直径3-4mくらいの円形の石作り風呂です。
公式サイトで見た感じ、かなり狭そうに思っていたのですが、実際に入ってみると、五~六人くらいの他人がゆっくりくつろげるくらいの広さを感じました。
露天ということで、当然、空がひらけています。
夕暮れに屋外で裸体、、、肌寒い!(笑)
そして、空からポツポツと雨が降っています、、、
目付きに雨・雪用の菅笠があったので、ちょっと恥ずかしく思いながらも、菅笠をかぶって露天風呂につかります。
これもまた、乙なのではないでしょうか。
伊香保温泉の主源泉である「黄金(こがね)の湯」という名のお湯は、鉄分を多く含んで黄土色(黄金色)に染まり、ぬるめのやわらかい泉質です。
湯口からかけ流しの湯がトポトポと流れ落ちる音も心地よく、顔や肩口に外気を感じながら黄金色の湯にゆったりと身をつけていると、とてもリラックスします。
そして、お湯のぬるさの割りに、身体がじんわり温まってくるのがわかります。
黄金の湯、いいお湯でした。
長くなりそうですので、前編はここまで。