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【心不全】心不全患者へ最新医療、最新型CRT-D国内初手術

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今日のニュース。

心不全患者へ最新医療 弘大など国内初手術/Web東奥・ニュース

2017年8月17日(木) Web東奥より。(※会員サイト、掲載期限1年)

 

重症心不全の患者さんに、最新型の両室ペーシング機能付き植え込み型除細動器(CRT-D)が取り入れられました。

両室ペーシングとは、心臓再同期療法CRTCardiac Resynchronization Therapyと呼ばれます。

重症心不全に対する新しいペースメーカー治療で、ペースメーカーを使って心臓のポンプ機能の改善をはかる治療方法です。

心臓は、右心房で電気信号が生じ、それが右心室、左心室に伝わり、両心室が拍動しますが、重症心不全患者さんでは、その電気信号の流れにズレが生じることにより(心室の同期障害)心臓のポンプ機能が落ちてしまいます。その場合、右心房、右心室、左心室にリードを留置して、最適のタイミングで電気ペーシングしてあげると、心室の同期障害が改善し、ポンプ機能、心不全も改善するというわけです。

 

一般的なペースメーカーは、右心室、もしくは右心房と右心室(いずれも右心側のみ)を電気刺激するものですが、両室ペーシング(CRT)の場合は、通常の右心側の刺激に加えて左心室も刺激する、文字通り、両心室をペーシングする点がポイントです。

 

CRT-D の D とは、AED などと同じ、Defibrillator、つまり、除細動器です。心室細動が起きて心臓が拍動しなくなったときに、バーン!と電気ショックを与える、あれですね。心拍リズムを整えるペースメーカーと、除細動の電気ショックが一緒になったもの、と考えればよいでしょう。

 

CRT自体は、日本国内では2004年4月に保険適用となり、これまでもCRT用の機種が使われてきました。保険適用と共にこの治療法が重症心不全の患者さんに広く使われるようになり、効果を上げているようです。

しかし、CRTを使っても心機能改善に効果のない患者さん(ノンレスポンダー)が3割ほどおり、課題となっていました。

 

今回のニュースは、そのCRTにおいて、最新型の機種が今月1日にセント・ジュード・メディカル社(アボット社の100%完全子会社)から発売され、国内初手術となったということです。

最新型というのは、従来、左心室に留置したリードの電極では単一パルス(ひとつの刺激)のみでしたが、最新型では2ヶ所の刺激(マルチポイント(TM))を与えることができ、従来型の20%機能改善を見込めるとのことです。

従来型では心機能改善しなかったノンレスポンダーの重症心不全患者さんに、特に朗報となるようです。

 

詳しくは、下記をどうぞ。

アボット、日本初となるマルチポイント ペーシング搭載のCRT-Dの国内承認取得 | MEDTEC Japan

 

私がこのニュースに反応する理由

実は、私もCRTを導入しています。

2003年に心臓手術(開胸)を受けたのですが、それと同時にCRTも導入しました。

当時、CRTはまだ保険適用となっておらず、各メーカーからCRT専用機種は発売されていませんでした。

 

では、どうしたのか?

もともとペースメーカー(PM)を入れていたのですが、開胸を機に、それまで鎖骨下静脈から心臓内に挿入していたリードを抜去。

改めて心臓の外側(右心房、右心室、左心室の上)に3本のリード電極を留置した上で、右心側のリード2本をアダプター接続で1本にし、左室リードを1本として、DDDモード(右心房、右心室刺激用)のペースメーカーに接続し、実質的なCRTを作ったのでした。いわゆる、CRT-P(両室ペーシングペースメーカー)です。

図解しないとちょっと分かりづらいかもしれませんが。

CRT専用機種ならば、3本それぞれのリード(右心房、右心室、左心室)が本体に接続できる3つの接続部があるのですが、従来型PMには2本のリード(右心室、右心室)に対応する2つの接続部しかないため、上記のような作戦をとりました。

 

で、どうなったのか?

PMをCRT化した結果、(まぁ、本来の主目的である別の心臓手術の効果も大きいのですが)、予想以上に心機能が改善しました。

心不全の状態も、「かなりつらい状態」から「少し制限があるけど日常生活はほぼ支障がない状態」にまで改善し、それまでできなかった就労へとつながりました。

わたしの場合、CRT療法も十分に機能しているのではないかと思います。

当時、最先端の治療を導入してくれた医師の先生方には感謝するばかりです。

 

それから14年、まだ生きてます。

心不全状態は術後右肩上がりに改善しましたが、体感では2012年頃(5年前)をピークにゆるーーい下り坂に転じた模様です。

現在は仕事も辞めて療養中。体力的、心臓的に、もう外で働ける気がしません・・・。

 

今後もなんらかの心臓手術の可能性がありそうですが、医療の進歩にはめざましいものがあるので、希望をもって期待しています。

 

今回も、希望になるニュースでした。

 

ちなみに。

アボット・ラボラトリーズのティッカーは、ABT。

セント・ジュード・メディカルのティッカーは、STJ。

買ってないですけどね(笑)

 

 

ペースメーカ・CRT・ICDポケット

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看護に活かせる心臓ペースメーカー・CRT・ICDノート: ナースが書いた

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