ある日スーパーでスマートなレジ会計に遭遇した
週に一度ほど、スーパーマーケットに食料の買い出しに出かける。
スーパーの買い物係は、もっぱら絶賛ニート中のわたしの役目である。
ちょっとしたリハビリといってもいいかもしれない。
車で5分、いつものスーパーに向かう。
卵、納豆、豆腐、野菜、冷凍食品、調味料などの常備品は、週一のコープデリ(生協の宅配)で届けられるが、肉や魚、足りない野菜などの生鮮食品はスーパーに買いに行くことにしている。
宅配の差分をスーパーで補うスタイルは、なかなか効率がよい。
出不精ゆえ、毎日その日の分だけスーパーに買い物に出かけるのは億劫なので、ほぼ一週間分の生鮮食品を一度にまとめ買いする。
すると当然あれやこれやと買い込むことになるので、買い物カゴは山盛りになる。
ここで関門となるのが、レジ会計である。
山盛りのカゴを前に、いかに素早くレジ会計を済ませることができるかが至上命題だ。
選択肢は二つ。
有人レジか、セルフレジか。
わたしの選択は、断然、有人レジである。
* * * * *
行きつけのスーパーにセルフレジが登場して数年になる。
最初は、空いているし、物珍しさも手伝って、セルフレジへと引き寄せられた。
ところが・・・とにかく、めんどくさい。
- 商品のバーコードを探すのに時間がかかる。
- バーコードスキャンの精度がよくない。ピッと鳴るまでに四苦八苦。
- バーコードの付いていないお惣菜とか単品野菜とかは、タッチパネルでいちいち選択しなくてはならない。
- スキャンが終わった商品を反対側のレジ袋に詰めていくのに、順番を考えないと商品がうまく収まらない。
- 商品を入れ直したりするとセンサーのチェックが入って、「商品を戻してください」とか言われてエラーが出る。
- 生鮮品をいったん別に置いておく棚が小さくて乗りきらない。
- レジ袋がいっぱいになってしまうと、それを外して、次のレジ袋を用意しなければならない。その間、スキャン作業ができない。
デメリットをあげればキリがない。とにかく、めんどくさいのだ。
数回チャレンジしてみたが、わたしのように山盛りのカゴを処理するには、セルフレジは非効率と言わざるをえない。
それに比べて、有人レジはどうか。
- 店員さんのスキャン早い。
- 店員さんのレジカゴへの移動、再配置が早いし適切。
- お刺身、肉、魚、お惣菜など汁やカスが出てしまいそうなものをビニール袋にサッと入れてくれる。
- 会計早い。
レジ打ち職人の店員さんに死角はない。
ただ、有人レジを利用した場合の唯一のデメリットがある。
それは、会計が終わり、カゴの商品を自分でレジ袋に詰め替えなければならないこと。
有人レジの問題というよりもはや自分の問題であるが、これがまた、めんどくさい。
レジ打ちの人がきれいにカゴに収めた商品は、収まりがよいように、下の方に大きなものが配置されている。
それをレジ袋に詰め替えるには、下の方の大きなものを掘り出さなければならない。
上から詰めていったのでは、収まりがつかないのである。
その結果、台の上に再び商品を陳列する羽目になる。
いつもこの段階で、ため息をついてしまうのだ。
この光景、おわかりいただけるだろうか?
商品が山盛りだけに、結構つらい。
この問題を解決する方法は、たぶんひとつ。
レジカゴバッグを使えばよいのだろうと思う。
レジ打ちの店員さんが商品をスキャンして隣のカゴに入れる、そのカゴにレジカゴバッグを事前にセットしてしまえば、あとは店員さんが詰めてくれる。
そして、そのままバッグの口を閉じて持ち帰ればよいだけ。
うん、そうしよう。レジカゴバッグを用意しよう。
と思いながら、かさばるレジカゴバッグを持っていくこと自体がめんどうで、いまだに用意できていないため、あいかわらずため息をつきながら自力で詰め替え作業をしている。
どっちにしても、めんどくさい・・・と思っているわたしは、まだまだ買い物係を極めることができない。
あぁ、レジ会計の話が横にそれてしまったようだ。
* * * * *
半年前くらいだろうか、よく通りすがる道沿いに、新しくスーパーができた。
大きな駐車場がある大きなスーパーはこの地方ではめずらしくはない。
だが、通りから一望できる奥行きの深い駐車場がいつも混雑しているのを見ると、なんだか圧倒されてしまい、ずっと入れないでいた。
ある日、外出の帰り道、その日の食材が底をつきかけていたことを思い出して、ふと、その新しいスーパーに寄ってみた。
店内は広く、行きつけのスーパーと少し商品棚の配置も違っていてキョロキョロしてしまったが、今まで入るのを躊躇していたのは杞憂であったように、落ち着いた雰囲気で買い物をすることができた。
打診買いで、買い物かごに半分くらいの商品を入れて有人レジへ。
というか、このスーパーにはセルフレジが見当たらない。
しかし、有人レジの一角に「セルフレジ」のプレートがかけられている。
どういうことかといぶかりながらも、その有人レジで商品のスキャンを終え、店員が会計を告げる声を待った。
すると、店員は言った。
「精算は、そちらでどうぞ」、と。
見ると、レジカウンターの出口に精算機?が設置されていた。
店員は素早くわたしのカゴを精算機?の隣に置き、もう次の人のレジ打ちにかかっている。
キョトンとしながら精算機?の前に立つと、タッチパネルがあり、「現金」か「クレジットカード」を選択することができる。
ここではじめて、セルフレジ、というか、セルフ会計のシステムになっていることに気づき、おぉ、と少なからぬ感動を覚えた。
精算方法は、もちろんクレジットカードで。
レジ打ちは店員さん任せ、会計は自分で。
店員さんとの会計のやりとりが省略され、後ろの人の待ち時間も短縮される。
なんてスマートなシステムなんだろう。
さらに、カゴを乗せるカートには隙間があって、詰め替え台のカウンターにそのまま差し込めるというスマートさ!
カートからカゴを台の上におろすという作業もいらないし、カートの置き場所に苦慮することもない。
要するに、カゴを乗せたカートを詰め替え台のカウンターにそのまま突っ込める、みたいな感じ。
この光景、おわかりいただけるだろうか?
カートが邪魔にならなくて、ものすごく便利!
このスマートなレジ会計と行き届いた設備のおかげで、行きつけのスーパーが一軒ふえることになった。
そのうち、台にカゴを置くだけで全商品の読み取りと決済が瞬時に完了、なんていうスーパーも登場するかもしれないが、今のところ、有人レジとセルフ会計の組み合わせは、最強だ。
* * * * *
うちの買い物係であるわたしは、時々そんなひそやかな感動を発見しつつ、粛々とスーパーでの買い物タスクをこなしている。
まぁ、こうして買い物にでかけられることだけでも、感謝である。
あとはレジカゴバッグを用意すればいいだけ、なのだが。